KLICプログラミング・コンテスト 主催者 | |
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![]() | (財)日本情報処理開発協会 先端情報技術研究所 所長 内田 俊一 |
しかし、全体として、77点の応募を頂き、その中に15点の並列環境 部門への応募がありました。並列の実行環境は、まだ、学生さんが 自由に使えるほど普及してないことから、ほとんどが机上でプログラ ムを作成したものとも思われ、その努力に感激しました。それと 同時に、主催者側で並列実行環境を提供するような配慮をするべき であったと反省もしております。
プログラム本体の性能のほか、マニュアルなどの品質も含めて、審査 させて頂き、それぞれの部門での入賞者を決定致しました。また、 プログラムが正しく動作しなかったため、参加賞をさし上げられない 方もありましたが、その努力を評価し、記念品をさし上げることに 致しました。
来年度も、同様の企画を行ないたいと考えておりますので、友人の 方などをお誘いのうえ、是非、ご参加くださいますようお願い致します 最後に、本コンテストの審査を細部にわたり注意深く、かつ公平に 実行していただいた関係者の方々にも、厚くお礼申しあげます。
KLICプログラミング・コンテスト 実行委員長 | |
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![]() | 東京理科大学理工学部経営工学科 教授(委員長) 溝口 文雄 |
KLICの講習会は、ICOT研究所が解散した後も、AITECがその 後を継いで、日本各地の大学などで開催され、多くの人がKLICを 用いてKL1言語を学びました。また、KLIC処理系をダウンロード した方は、1300人を越えていると聞いています。しかし、日本では、 米国に比べ、並列マシンの普及が遅く、実際にKL1を用いている人が どのくらいいるのか定かではありません。多少、時期尚早の感はあり ましたが敢えて実施することとしました。
その後、課題の設定や、並列環境部門、逐次環境部門、自由課題部門の 3部門の設定、実施時期などを決定し、皆さんにご案内を差し上げました。 幸い、77点の応募を頂きました。内訳は、逐次環境部門:54点、 並列環境部門:15点、自由課題部門: 8点でした。 複数の部門に応募した方もありましたので、それを差し引くと、応募者 (グループ参加を含む)は、57名となります。並列マシンの普及していない 現状を考えると、まあまあの応募数と考えています。
さて、審査委員会の作業ですが、委員会のメンバーとしては、かつて ICOTにおいて、KL1の設計や処理系開発、また、そのユーザで あった方々に参加していただきました。また、与えられた課題に対する応募 作品の実行時間の測定やマニュアルの評価などを正確かつ公平に行なうため、 かなりの数の方々に協力いただきました。
各部門の審査状況について、簡単にご報告しておきたいと思います。
「逐次環境部門」については、まず、いくつかの異なるパターンからなる評価 データを用いて、実行時間を計測致しました。それとともに、プログラムの 構造、それにマニュアルなどドキュメンツ類の品質を合わせて評価し、応募作品 の優劣をつけました。各作品とも、KLICの逐次処理系の上でデバッグし、 チューニングもしてあり、全体的に完成度は高かったと思います。 このため、入賞者の決定は、比較的容易に行なうことができました。
「並列環境部門」は、当初の審査委員会の予想を大幅に越える作業を 伴う審査となりました。応募者の皆さんの手近なところに自由に使える 並列マシンと並列KLIC処理系があり、デバッグやチューニングが容易に 行なえる状況であったなら、審査の様子は大部変わったものとなって いたことでしょう。しかし、実際は、そのような状況にはなかったこと から、ほとんどの応募者は、プログラムを並列化した後、高速化のための チューニングが不十分のまま作品を提出することとなりました。
審査委員とその協力者の方々は、それぞれのプログラムを、標準的な パターンからなる評価データを用いて評価するとともに、データ数を 大幅に増やした評価データを新たに追加して、実行時間の評価を行ない ました。また、プログラムの動作が不安定なものについては、プログラム の内容を精読して、原因を分析しつつ評価をすすめました。 このようなプログラム本体の評価と共に、他の部門と同様、マニュアルや 並列化についての考察を説明したドキュメントの有無や品質を評価し、 入賞作品を決定しました。結果は、最優秀賞は該当作品無し、優秀賞1点、 佳作2点とすることと決定しました。
来年度、同様の企画を行なうとすれば、主催者側で、応募者が利用できる 並列環境を準備し、デバッグやチューニングを行なえるようにする必要が あると痛感いたしました。並列部門へ応募された方々、ご苦労さまでした。
さて、「自由課題部門」ですが、ここでは、おもしろいプログラムが集まり ました。かなりの大作が多く、なかなか優劣をつけるのが困難でした。 自由部門ですから、審査委員の主観によるところも大で、結局、審査委員 および審査協力者の全員(約20名)の挙手による投票により順位を決定 しました。
全体的にみると、応募作品はKL1の特徴をよく理解し、工夫を凝らした 作品が多く、審査委員長としては、満足のいく結果となりました。 改めて、応募していただいた方々に感謝の意を表します。
このようなこともあり、当初、動作しない作品には、何も賞をあげないとの 基準を設けて審査しておりましたが、未完の作品も、それなりに努力の跡が 認められることから、主催者とも相談のうえ、記念品として、 「第五世代コンピュ−タの並列処理1993年7月号 bit別冊 共立出版」を 進呈することと致しました。
今後、皆さんの周囲に、並列マシンが導入されましたら、KLIC処理系 をインストールされ、来年のコンテストの並列環境部門に、是非ご応募 いただけるようお願いしたいと思います。同様に、逐次環境部門や自由 課題部門への応募もよろしくお願いします。
ご応募頂いたみなさん、また、審査にご協力頂いたみなさん、ありがとう ございました。来年も、同様のコンテストを実施する計画ですのでよろしく お願い致します。
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審査員より一言![]() |
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