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8. 韓国

8.3 サイバーコリア21とその最近の動向

 1999年3月、韓国情報通信部は、サイバーコリア21(韓国の知識基盤情報社会に向けてのビジョン)と題するレポートを発表した。これは21世紀が知識基盤経済へ移行するという認識のもと、次の4年間で注力する3つのテーマとして、知識基盤社会のための情報基盤の強化、情報基盤を活用した国の生産性の向上、情報基盤上の新規事業の育成を掲げている。
 その後、サイバーコリア21は順調に進展している模様である。インターネットの普及が急拡大しており、2001年5月時点でユーザ数は2,400万人(人口100人当り50.6人)に達している。
 1998年には、アジアのシリコンバレーを目指した「メディアバレー計画」がスタートした。これは建設中のソウル新空港隣接地域に、広大な埋め立て地を造成し、先端技術を持つ国内外のIT企業を集めた情報産業工業団地を建築するものである。
 メディアバレーには、政府と地方自治体の支援のもと、コンベンションセンターや人材育成機関、海外との高速通信網等が整備される。海外企業には、免税措置等多くのインセンティブが与えられる。
 政府は引き続き2004年までに4兆ウォンをIT技術開発に充てる計画である。
 2002年度には情報化関連22プログラムに総額1兆7,300億ウォンを予算化する(建設運輸部=総合物流情報システム、国家地理情報システム、総務部=地域情報化等)。
 情報通信部は、民間企業と共同でIT開発プロジェクトに投資する。投資総額は2,800億ウォン(政府1,650億ウォン、民間1,195億ウォン)であり、次世代インターネット、次世代携帯電話通信、ディジタル放送、ソフトウェア等の基礎技術開発が対象となっている。 
 電子商取引関連では、2000年2月に策定された総合電子商取引推進政策が推進されている。5つの重点分野で40のプロジェクトが進められている。
 情報通信部は、IT分野の投資規模を大幅に拡大し、迅速に実行していく方針である。2002年度は、総額12兆ウォン規模の投資を予定している。また、第4世代移動通信、光インターネット、統合型情報放送技術、次世代インターネットサーバ及び情報保護システムを重要国策テーマとして取り上げている。これらのテーマに対して、今後5年間に6,121億ウォンを投資する計画である。
韓国の情報化は一連の情報政策を梃子に、著しい発展を遂げた。特に、ブロードバンドネットワークの普及は世界のトップクラスであり、それを背景としたコンテンツビジネスも成長している。今後は、産業全体における情報化と電子商取引の推進が重点領域となる。

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