米国の2001年度予算案は2000年2月7日にクリントン大統領によって発表された(http://w3.access.gpo.gov/usbudget/fy2001/pdf/budget.pdf)。
各省庁からも議会説明用の予算資料が公表されている。それらとは別に、クリントン大統領は年明けから重点施策説明のための遊説を全国各地で行っていて、発言内容は文書化され国務省から公開されている(http://usinfo.state.gov/)。以上の公開情報をもとに情報技術分野でどのような研究開発を計画しているのかという点に的を絞って見ていく。
以下に、内容に重複があるがクリントン大統領が説明の中で強調している21世紀基礎研究ファンド(21st Century Research Fund)と情報技術研究開発(Information Technology Research & Development)を先に見て、その次に大統領予算教書に示された連邦政府予算案(Budget of the United States Government)、IT2計画の強化継続策の「ネットワーキングおよび情報技術研究開発法(Networking and Information Technology Research and Development Act)」案、DOEのASCI計画関連予算の概要を順次紹介する。
連邦政府の研究開発予算内容を細かに紹介した文書は身近にあまりないと思われるので、冗長の感はあるが取り組みテーマがある程度把握できるようにした。
2001年度の連邦政府予算は総額1兆8,350億3,300万ドル、そのうち研究開発費予算は853億3,300万ドルであり、4.6%に当たる。研究開発費予算の内訳は次の表2.2のようになっている。基礎研究は13億ドル増と大きくのびている。
表2.2 研究開発費予算の推移 (単位:100万ドル)
種別 | 1999年度 実算 |
2000年度 見込み |
2001年度 要求 |
2000年度比 増分(%) |
基礎研究 | 17,468 | 19,027 | 20,328 | 7 |
応用研究 | 15,915 | 17,193 | 18,026 | 5 |
開発 | 44,302 | 44,017 | 44,321 | 1 |
機器類 | 1,015 | 1,026 | 1,137 | 11 |
設備類 | 1,612 | 1,427 | 1,521 | 7 |
合計 | 80,342 | 82,744 | 85,333 | 3 |
(出典:予算教書99ページTable 5-2より抜粋)
以下の説明での予算金額は、切り口がイニシアチブによるもの、あるいは担当省庁によるものなどが適宜用いられているので注意していただきたい。
2.3.2 21世紀基礎研究ファンド(21st Century Research Fund)
428億9,500万ドルの予算要求で、非軍事研究としては過去最大の前年度比増額(29億ドル)要求となっている。主要計画は下記の4項目である。
(1) NIHでのバイオ医療研究に10億ドルの増額。糖尿病、脳機能障害、ガン、遺伝子薬品、疾病予防計画、AIDSワクチン開発に関する研究支援。
(2) 新しく起こした国家ナノテクノロジー計画に4億9,500万ドル。トランジスタとインターネットが情報時代を切り開いたように、原子分子を操作するナノテクノロジーは21世紀を革命的に変化させる。議会図書館の蔵書を角砂糖一つの大きさに格納できる分子コンピュータといったブレークスルーが期待できる。
(3) 大学ベースの基礎研究を活性化するためにNSFへ6億7,500万ドル増額。科学と工学のバランスの取れた支援を行う。
(4) 情報技術の基礎研究に5億9,400万ドル増額し、トータルで23億ドルの支援を行う。高速無線ネットワーク、ハリケーンや竜巻をより高精度に予測するためのスーパーコンピュータ、救命医薬品の開発への支援を行う。次項に内容の詳細を示す。
2.3.3 情報技術研究開発(IT R&D)のハイライト
(http://www.ccic.gov/highlights/itrd-4pager.pdf)
これは前項の(4)に対応する計画であり、情報技術分野の研究開発費は2000年度比5億9,400万ドル増の23億1,500万ドルの予算要求となっている(表2.3)。増額の内訳を見るとNSFが2億2,300万ドル、DOEが1億5,000万ドル、DODが1億1,500万ドル、NASAが5,600万ドル、DHHSが4,200万ドルとなっている。
表2.3 情報技術研究開発予算要求額 (単位:100万ドル)
省庁 | 2000年度予算 | 2001年度予算 | 増分(%) |
DOC(NOAA、NIST) | 36 | 44 | 22 |
DOD(DARPA、NSA、URI) | 282 | 397 | 41 |
DOE | 517 | 667 | 29 |
EPA | 4 | 4 | 0 |
DHHS(NIH、AHRQ) | 191 | 233 | 22 |
NASA | 174 | 230 | 32 |
NSF | 517 | 740 | 43 |
合計 | 1,721 | 2,315 | 35 |
2001年度の重点分野として以下の11のテーマがあがっている。
(1) 最先端コンピューティング開発チーム : 国家として最もさし迫った情報分野での課題を解決するためのツール作成を情報科学者、数学者および医学研究、気象モデリング、天文学の専門家が一緒に進められるような新しい協力関係をサポートする。これにより情報科学が進歩し、応用分野でのブレークスルーが期待できる。
(2) 最先端コンピュータモデリングとシミュレーション用インフラ : 民間研究者用にNSFとして2番目のテラスケールコンピューティング設備を用意する。
(3) より信頼性の高いソフトウエア : 公共インフラ障害を発生させるなどの社会経済に影響を及ぼすソフトウエアバグを無くすように、工業製品の設計テストツールのように生産的かつ予測可能なソフトウエア設計、テスト方法を開発する。
(4) データの格納、管理および保存 : NASAの地球観測衛星は1年間に議会図書館が持っている情報の3倍のデータを発生させている。このような多量のデータをPCのハードディスク程度の大きさの装置に格納する技術開発。
(5) インテリジェントマシンとロボットネットワーク : NASAでは未知の環境でも知的に順応的に自己完結的に動作し、集団でも動作できるような宇宙探査機を必要としている。
(6) ユビキタスコンピューティングと無線ネットワーク : 周囲に埋め込まれたコンピュータシステムは人の声、身振り、接触を通して人と通信でき、人の意図を読みとり必要な情報を自動的に供給出来るようになる。更に自動車や飛行機の運航をより安全に管理することが出来、安全でより信頼性のある医療施設を構築できる。
(7) 情報のセキュリティとプライバシーの管理と保証 : コンピューティング技術と通信技術が一体になると、データは意図せぬ使用にさらされることが多くなってくる。e-コマース、ソフトウエアの配布、ネットワーク保護やデジタル透かしでのデータを保護するために、DOD、NISTは継続して暗号の研究を行う。
(8) 未来世代コンピュータ : 量子コンピューティングや分子あるいはナノテクノロジーによる電子回路を使って、今まで計算不能であった気候モデリング、生態系のフルスケールシミュレーション、宇宙動力学や外科的シミュレーションを可能にする。バイオインフォマティック研究は膨大な量のゲノム情報の管理を可能にする。
(9) 広帯域光ネットワーク : DARPAが支援している研究で、現状のスピードより1,000倍速い光ネットワークが可能となった。エンドユーザがこのメリットを得るためには更に光スイッチの改良が必要である。この技術はヘルスケア、航空管制など民間部門のインフラに応用できる。
(10) 社会、経済および労働力への情報技術の関わり合い : NSFは、日常生活における情報技術の急速な浸透により生じている見込みと社会、経済および労働力のチャレンジを同定、理解し予測し立ち向かうための研究投資を行う。
(11) 新世代研究者の教育と訓練 : 情報技術研究と教育の容量を大きくするには新しい研究者が必須である。NSF、DOE、NIHが関連する専門分野をまとめることにより多分野に通用する能力を持った新世代の研究者を訓練することが出来る。
2.3.4 連邦政府予算案(Budget of the United States Government) (http://w3.access.gpo.gov/usbudget/fy2001/pdf/budget.pdf)
研究開発予算は、予算教書第4章「21世紀のアメリカを強化するには」の第5節「研究を促進する」に12ページにわたって取り上げられている。その前文には米国経済の発展に対する科学技術の貢献が書かれており、1999年に、「アメリカのための21世紀基礎研究ファンド(the 21st Century Research Fund for America)」をおこして、NIH(National Institutes of Health:国立衛生研究所)、NSF(National Science Foundation:科学基金)、DOE(Department of Energy:エネルギー省)での基礎研究を中心にコンピュータ、通信、エネルギー、環境その他の分野への調和しかつバランスの取れた資源の投資戦略を採ってきていると主張している。
ここで言っている「調和しかつバランスの取れた」という意味は、ヘルスケアを例に取ると、その発展には医学医療分野だけではなく、その周辺技術である医療イメージング技術やコンピュータを活用して初めて実現できる新薬の早期開発およびヒトゲノムのマッピング技術などのブレークスルーにも大いに依存しているのだという認識を指している。要するに基礎および応用の両面にまたがり、相互に関連する領域の研究開発を上手に組み合わせて、得られる成果を増幅しようという姿勢である。
2.3.4.1 科学技術イニシアチブ(The Science and Technology Initiative)
−戦略的成長への果敢な道のり−
ベースになっているのは前述の「21世紀基礎研究ファンド」であり、2001年度では2000年度比29億ドル増(7%増)の429億ドルを予算要求している。特に(1)基礎的かつ長期の研究への投資を強化する、(2)ヘルスケア研究と他の領域とのバランスを取る、(3)大学ベースの研究を強調する、(4)国家としてプライオリティーの高い戦略的な研究への支援増加をその狙いとしている。2001年度に予算が大幅に増加したナノテクノロジー開発支援はその好例である。
そのほかバイオ関連や既に実施している情報技術分野の研究開発に対しても基礎研究の強化、先端的スーパーコンピュータ応用プログラムへの支援増加も行っている。対象となっているのは、NSF、DOE、NASA(National Aeronautics and Space Administration:航空宇宙局)、DOD(Department of Defense:国防総省)、DOC(Department of Commerce:商務省)などの省庁である。
全研究開発予算(Research and Development Investments)は2000年度比3%増の853億3,300万ドルとなっており、そのうち非軍事関連予算は51%である。
科学技術イニシアチブで米国の重点テーマとして取り上げられている個別イニシアチブを抜き出すと次のようになる(予算教書100ページTable 5-3)。
・国家ナノテクノロジーイニシアチブ 4億9,500万ドル
・情報技術イニシアチブ(IT2) 8億2,300万ドル
・気候変動技術イニシアチブ 14億3,200万ドル
・省庁連携教育研究イニシアチブ 5,000万ドル
(以上NSTC取りまとめ)
・Space Launchイニシアチブ(NASA) 2億9,000万ドル
・国家基礎研究イニシアチブ(USDA) 1億500万ドル
・インテリジェント交通システムイニシアチブ(DOT) 3億3,800万ドル
以下に、情報技術分野に関連するものを中心に予算主要項目の内容を紹介する。
(1)基礎研究の強化および連邦政府研究ポートフォリオのバランス
2000年度比13億ドル増(7%増)の203億ドルを基礎研究への支援にあてる。国家的にプライオリティーの高い基礎研究を行っているNIH、NSF、DOE、NASAが対象になっている。
(2)大学ベースの基礎研究強化
大学での研究を支えている助成金は競争的なものであるため、科学の新しい概念を創造したり研究領域を広げることに役立っていると同時に次世代の科学者、技術者の育成の場を提供しているという特別な役割を持っている。この助成金は2000年度比13億ドル増(8%増)の178億ドルの予算要求となっていて、主としてNSF、NIH、DOEを通して支給されている。連邦政府が支援している大学での研究に占めるNSFの支援比率は健康関連以外の基礎研究分野で50%以上になり、有能な学生を科学技術の道に進ませることへの動機付けにもなっている。
(3)NSTCが推進する主要なマルチエージェンシー研究イニシアチブ
情報通信分野への支援増加の他、2001年度から新たに「国家ナノテクノロジーイニシアチブ(National Nanotechnology Initiative)」と「生物ベース製品およびバイオエネルギー(Biobased Products and Bioenergy)」という二つの計画をスタートさせた。
(a) ナノテクノロジー研究
原子または分子レベルで物質を操作することにより、今までにない新しい階層のデバイスを作り出すことを可能にするような新規の性質、プロセス、現象を研究し、その研究成果を情報技術をはじめ国防、宇宙開発などのあらゆる分野に必要となる電子/電気光技術のたゆまない改善に結びつけるといった計画となっている。医学の分野では、人間の細胞程度の大きさの検知器によってガン細胞を検出する手法も考えられている。4億9,500万ドルの予算を提案している。
(b) クリーンエネルギー(生物ベース製品およびバイオエネルギー)
化石エネルギー資源に変わる生物ベースの製品やバイオエネルギーの使用を現状の3倍にするという大統領命令13134号に基づき予算として2億8,900万ドル提案されている。穀物の生産性向上や収穫技術の改善に対しても支援を行う。
(c) 情報技術分野の研究開発
2001年度予算での範囲は、過去10年間にわたって実施されてきたHPCC計画(次世代インターネット(NGI)を含む)と2000年度予算で出来たIT2計画を合併してInformation Technology R&D(IT R&D)と新しい計画名称になっている。この計画ではIT2計画に8億2,300万ドル、NGIに8,900万ドルを含む総額で23億ドルの予算を提案している。
今後更に強力になるハイエンドコンピューティングシステム、先端性能を持つ地球規模のネットワーク技術、ソフトウエア開発技術やアプリケーションソフトの進歩、広範囲に分散されている知識ディポジトリーへのアクセス方法とその管理およびヒューマンインタフェースの進歩に貢献できる、コンピューティング、情報および通信分野への長期の支援を行う。
(d) 大量破壊兵器配備および基幹的インフラストラクチャ防衛研究開発(Weapons of Mass Destruction(WMD)Preparedness and Critical Infrastructure Protection R&D)
後者の基幹的インフラストラクチャ防衛研究開発は、国家、国民生活の基幹をなす電力、通信、情報、交通などのシステムをいわゆるサイバーテロの攻撃から守るために官産学協同で取り組むものであり、6億600万ドルの予算提案をしている。
そのほか、情報技術分野以外では以下の計画がある。
(e) 気候変動技術イニシアチブ(CCTI: Climate Change Technology Initiative)
(f) 新世代乗用車パートナーシップ(PNGV: Partnership for a New Generation of Vehicles)
(g) エコシステム課題のための総合科学(ISEC: Integrated Science for Ecosystem Challenges)
(h) 健康に関する基礎研究(Fundamental Health Research)
(i) 教育技術と省庁連携教育研究イニシアチブ(Education Technology and the Interagency Education Research Initiative)
デジタルデバイドを解消するための施策の一つ。
(j) 地球規模変化の研究計画(USGCRP: U.S. Global Change Research Program)
2.3.4.2 連邦政府機関での研究開発投資
(1)NIH(National Institutes of Health) 国立衛生研究所
・バイオ医療研究(糖尿病、脳障害、ガン、遺伝子薬品、疾病予防、生物医療情報技術、ナノテクノロジー、AIDSワクチン)に2000年度予算比10億ドル増額
・研究者主体の、ピアレビュー型研究助成方式の堅持
(2)NSF(National Science Foundation) 科学基金
・広範囲にわたる科学技術研究に対し457億ドル(前年度比17%増)
・IT R&D分野、特に長期間のコンピュータ科学研究と先進スーパーコンピュータを科学者が利用出来るようにするために7億4千万ドル
(3)DOE(Department of Energy) エネルギー省
・物理、化学、生物、材料、環境およびコンピュータ科学研究計画に31億5千万ドル(前年度比13%増)
(4)NASA(National Aeronautics and Space Administration) 航空宇宙局
・現在推進中の計画および新規計画に対して140億ドル(前年度比3%増)
(5)DOD(Department of Defense) 国防総省
・基礎研究に12億ドル、応用研究に31億ドル、先端技術開発に32億ドル
・研究は物理科学に重点を置き、国家の工学、数学およびコンピュータ科学分野での活動に不可欠である
(6)USDA(Department of Agriculture) 農務省
(7)DOC(Department of Commerce) 商務省
・NISTのATPに対して1億7,600万ドル(前年度比23%増)
・2001年から始める新しい研究はナノテクノロジーと情報科学
(8)USGS(Department of the Interior's U.S. Geological Survey)内務省地質調査部
(9)EPA(Environmental Protection Agency) 環境保護庁
(10)Department of Transportation 運輸省
・ITS(Intelligent Transportation System)イニシアチブに3億3,800万ドル
(11)Department of Veterans Affairs' Medical Research 復員軍人省医療研究
(12)Department of Education 教育省
2001年度予算教書とは別に、IT2計画の強化継続策として、2000年度から2004年度の5年間にわたり計画的に情報技術分野への政府支援を行うことを目的とした「ネットワーキングおよび情報技術研究開発法(NITRD法 : Networking and Information Technology Research and Development Act)」案が第106議会下院本会議に上程され、2000年2月15日下院を通過し上院に送付された。
この法案は、下院科学委員会が提案したもので1990年代米国での高性能コンピューティング開発の端緒となった1991年の「高性能コンピューティング法(HPC法 : High-Performance Computing Act)」(1998年の「次世代インターネット研究法(NGIR法 : Next Generation Internet Research Act)」により既に修正されている)を今回更に修正してNSF、NASA、DOE、NIST、NOAA、EPA、NIHの研究開発支出を2000年度から2004年度までの5年間についてあらかじめ認可しようというものである。この背景には、過去の情報科学、コンピューティング科学分野での基礎研究の成果が現在の国家繁栄をもたらしたという事実、そしてそれが将来の米国の経済発展に最も重要な要因であり国家として最優先で支援すべきものであるという認識と、IT2計画もそうであったが、今までの予算措置が単年度であったために、研究のための資源が十分に投入し難いという状況改善の狙いがあるように思われる。
2000年2月15日下院で承認された「ネットワーキングおよび情報技術研究開発法(Networking and Information Technology Research and Development Act)」案での予算認可案を表2.4に示す。
表2.4 「ネットワーキングおよび情報技術研究開発法」案での予算認可案 (単位:百万ドル)
2000年度認可案 | 2001年度認可案 | 2002年度認可案 | 2003年度認可案 | 2004年度認可案 | ||
NSF | 580.00 | 699.30 | 728.15 | 801.55 | 838.50 | |
研究設備(注1) | 70.00 | 70.00 | 80.00 | 80.00 | 85.00 | |
NASA | 164.40 | 201.00 | 208.00 | 224.00 | 231.00 | |
DOE | 60.00 | 54.30 | 56.15 | 65.55 | 67.50 | |
NIST | 9.00 | 9.50 | 10.50 | 16.00 | 17.00 | |
NOAA | 13.50 | 13.90 | 14.30 | 14.80 | 15.20 | |
EPA | 4.20 | 4.30 | 4.50 | 4.60 | 4.70 | |
NIH | 223.00 | 233.00 | 242.00 | 250.00 | 250.00 | |
HPC(注2) | 1,124.10 | 1,285.30 | 1,343.60 | 1,456.50 | 1,508.90 | |
DOE | 25.00 | 15.00 | 15.00 | ---- | ---- | |
NSF | 25.00 | 25.00 | 25.00 | ---- | ---- | |
NIH | 7.50 | 0.00 | 0.00 | ---- | ---- | |
NASA | 7.50 | 10.00 | 10.00 | ---- | ---- | |
NIST | 7.50 | 5.50 | 5.50 | ---- | ---- | |
NGIR(注3) | 72.50 | 55.50 | 55.50 | ---- | ---- | |
NITRD計 | 1,196.60 | 1,340.80 | 1,399.10 | 1,456.50 | 1,508.90 |
(注1) テラスケールコンピューティング実現のための研究設備開発助成金
(注2) ’High-Performance Computing Act of 1991’への修正値 2000年度〜2004年度追加
(注3) ’Next Generation Internet Research Act of 1998’への修正値
2001年度、2002年度追加
NIHについては、HPC法の205Aセクションとして今回新たに追加されたものであるが、バイオ医療および行動科学研究での計算技術とソフトウエアツールの進歩と応用拡大がその目的となっている。
クリントン政権発足時からの国家目標であった包括的核実験禁止条約(CTBT : Comprehensive Test Ban Treaty)を批准するという目的に密に対応した活動であるASCI計画については、連邦政府予算案には説明がないためDOEの予算要求案からその動きを見ることにする(http://www.cfo.doe.gov/budget/01budget/highlite/hilite01.pdf)。
(1)2001年度予算におけるASCI計画の位置づけ
ASCI計画の存在理由となっている核兵器保全管理計画(Stockpile Stewardship and Management Program)への見直しが行われ、ASCI計画は2000年度予算での国家防衛権限法(National Defense Authorization Act for FY2000)に基づいて2000年3月1日付でDOE内に設置された半自立的なエージェンシーである国家核安全保障管理部(NNSA: National Nuclear Security Administration)管理下に置かれることになった(http://www.nnsa.doe.gov/)。
この結果、ASCI計画は、NNSAの防衛計画課がとりまとめ部署となり、兵器に関する活動(Weapon Activities)の4つの主要コンポーネントの1つである保全管理(Stewardship Operations and Maintenance)の更に3つのサブコンポーネントを構成している2つのサブコンポーネントの作戦行動(Campaigns)と技術基地と設備の配備(RTBF : Readiness in Technical Base and Facilities)で管理されることになった。DOEの予算要求説明書を見る限りでは新体制に移行しても既に定められているASCI計画の目標値は変更を受けずに2004年まで推進されることになっているようである。
(2)2001年度予算
今までのASCI計画に含まれていた具体的な計画は2001年度では作戦行動サブコンポーネントの防衛アプリケーションとモデリング(Defense Applications and Modeling)およびRTBFサブコンポーネントの先端的シミュレーションとコンピューティング(Advanced Simulation and Computing)で予算化されており、予算要求額は5億9,520万ドル(2000年度比8500万ドル増)となっている。
主な実施内容としては1999年9月29日にRFP(Request for Proposal)を締め切ったLos Alamos研究所のASCI T30ハードウエア(30テラフロップスプラットフォーム)調達、Lawrence Livermore研究所の10テラフロップスプラットフォーム(ASCI White)改良の完成が計算結果を視覚化し理解を助けるVIEWS、改良されたソフトウエアを使ったプログラムコーディング開発が盛り込まれている。