H10−6 先進諸国における情報化ビジョンに関する動向

  

情 報 化 ビ ジ ョ ン

1.アメリカ

  • 1991年(〜1996) HPC法&HPCC計画(当時上院議員のゴア現副大統領が提案)
  • 1992年 NII構想(ゴア大統領がまとめ役)
    クリントン=ゴア政権が発足し、就任直後の2月にNIIイニシアティブ、9月にNIIアジェンダを発表。
  • 1994年 GII構想 ・・・ 各国NIIを連結してのグローバル情報基盤を提案。   
  • 1996年 NGI 構想
    10月構想発表、97年2月NGI構築支援を表明(大統領一般教書演説)、98年度予算に計上(要求額は、CIC計画のLSN2.8億ドルのうち1億ドルがNGI予算)。
    目標:@先端ネットワーク技術の試験研究、A次世代ネットワークのテストベッド、B革新的アプリケーション、の3つ。
  • 1997年 CIC計画・・・96年度でHPC法案が失効。成功を収めたHPCC計画の継承計画。
    高性能コンピューター通信、大規模ネットワーク、高信頼性システム、人間との親和性を考慮したコンピュータシステム、人材育成 といったプロジェクトが実施された。
  • 1997年7月 Global EC構想(ゴア副大統領)
    電子商取引に関して、「5つの原則」、「検討すべき9分野に対する提言」を示す。
  • 1998年2月 NGI実行計画書発表・・・NGIの3つの目標を詳細化。
  • 1999年1月 PITAC報告書「21世紀に向けた情報技術:IT2(情報技術政策ビジョン)
    ・IT計画を提言。
    ・「2000年度大統領予算教書において、クリントン=ゴア政権は、情報技術研究投資の大幅な強化を表明している」とある。

2.EU(欧州連合)

  • 政府の電子化 Interchange of Data between Administrations (IDA)プログラム
    1995年 IDAプログラム開始(EU内の政府系機関でデータ交換促進)
  • 電子商取引 “A European Initiative in Electronic Commerce", 1997
    1997年 「電子商取引に関する欧州イニシアティブ」発表(欧州委員会)
    今後世界的な発展が期待される電子商取引の為に、「グローバル市場にアクセスするためのインフラ、技術、サービス」、「望ましい規制枠組みの開発」、「望ましいビジネス環境の創出」に関して提案。
  • 研究・技術開発 フレームワークプログラム(1984年〜)
    フレームワークプログラムは、持続的経済成長、産業競争力強化、雇用創出、社会変化への対応に向けて、1984年に総合的研究開発政策としてスタートしたEUレベルでの研究開発プログラムである。EU自身が助成金を拠出する。

3.シンガポール

IT2000:インテリジェントアイランド構想(1991年)
  • ネットワークインフラ:1996年発表されたシンガポール・ワン計画
    シンガポール全土に広帯域の通信インフラを整備し、対話型マルチメディアのアプリケーションとサービスを家庭、学校、オフィスに提供しようというもの。
  • 電子商取引:電子商取引ホットベッド・プログラム(1996〜 国家コンピュータ庁)
    電子商取引の利用を活発化し、シンガポールを電子商取引のハブにすることが狙い。
  • ベンチャー振興策:TIP(テクノロジーインキュベータープログラム)研究開発費等のコストを2年間、最大85%補助(最大30万Singaporeドル/1企業年)。

4.マレーシア

ビジョン2020(1991年マハティール首相により、2020年までに先進国にするという国家目標)
マルチメディア・スーパー・コリド(MSC: Multimedia Super Corridor)
マルチメディア特区を設け、最大100%の免税等の優遇処置によりアジアのシリコンバレーをめざす。
          
  • フラグシップアプリケーション:電子政府、多目的カード、スマートスクール、遠隔医療

5.オーストラリア

「成長のための投資」計画(1997年ジョン・ハワード首相)の将来ビジョン
  • 輸出志向で、技術的に発達した競争力のある製造部門
  • オーストラリアを域内で東京に次ぐ主要金融センターとする質の高いサービス産業
  • それ自身が雇用拡大、輸出、新規ビジネス機会などの重要な源泉であり、また経済全般にわたり他の産業に変化を及ぼす情報産業
  • 大企業を補完し、多くの新規企業やアイディアが生まれる、活気のある小規模ビジネス部門
  • 域内を始め各地へのオーストラリア商品とサービスの輸出

6.インド

インドは、情報技術産業を強化し、10年のうちにインドを世界最大のソフトウェア生産国/輸出国とするための政策を展開している。
  • 1998年5月「情報技術・ソフトウェア開発タスクフォース」を設置。
    国家情報政策の立案に着手した。検討内容はWeb上に公開し、インド内外の専門家からの助言を得ながら進めるという開かれた政策立案過程をとっている。
  • 1998年7月「情報技術アクションプラン」発表。主にソフトウェア&関連サービス対象。
    下記の3つの基本目標を掲げ、それに関連した108つの具体的提言を述べている。
    @情報インフラの加速:世界第一級の情報インフラ構築を加速。
    AITEX-50目標:2008年までにITソフト&サービス輸出額500億ドル達成。
    B2008年にすべての人に利用できるIT。
  • 1998年10月「情報技術アクションプラン(パートII)」発表。ハードウェアに焦点。
    @SBIT(Soft Bonded IT Unit)の導入:製造施設を無料、無担保で利用できる企業。免税等の特典があり、輸出が奨励されている。
    ASBITゾーンの整備:複数のSBITが共用するインフラ・施設。
  • 1999年4月(予定)「情報技術アクションプラン(パートV)」長期情報技術政策。

7.韓国

1992年、通信部と商工部が統合され、情報通信部が新設された。金大中政権発足後は、情報産業がIMF体制克服のための産業効率化における「戦略産業」であると位置づけ、情報化政策を強化推進している。
  ・1995年 韓国情報基盤イニシアティブ開始
  ・1996年 情報化促進基本計画策定
  ・1997年 情報化促進アクションプラン
       
  • 情報化基本計画
    3つのフェーズから構成。各フェーズ目標が規定されている。
    第1フェーズ(〜2000年):優先度の高い10のタスクとして下記が掲げられている。
    • 小さいが、電子化され効率的な政府を実現する
    • 情報社会で有用な人材を育てるための教育情報基盤を構築する
    • 国家の知識ベースを拡充するために学術研究データにアクセスできる環境を作る
    • 産業全体にわたり情報化を促進し、企業競争力を高める
    • 情報化により社会インフラの利用率を高める
    • 地域開発に向けて地方の情報化を支援する
    • 情報技術の利用により医療サービスを向上させる
    • 災害対策のための安全管理データシステムを構築する
    • 国防・外交情報システムのセキュリティを高める
  • 韓国情報基盤 KII構築 − 韓国政府の重要政策として推進している。
    2010年までに韓国政府情報基盤(KII-G:ATMベースの光ケーブルネットワーク)と韓国公用情報基盤 (KII-P)を完成させる。
  • 情報社会に向けてのビジョン
    1999年3月現在、「情報社会に向けての韓国のビジョン」がインターネットに掲載されている。内容は、「生産性の向上」、「より良い情報化環境の構築」などに関するもの。